「異常な油温上昇」

油温が上がると、シリンダー寿命は半減します!
油が熱にさらされると、油膜が薄くなり金属同士が直接こすれ、摩耗が一気に進みます。
さらに、高温はシール材の劣化を早め、硬化・破れ・漏れの原因にもつながります。

80℃を超えたら要注意!
油温が高いまま使用を続けると、内部トラブルの連鎖が起きてしまいます。
冷却ファン、油冷却器、油量不足、汚れ詰まりなど、冷却系統の点検を必ず見直しましょう。

温度監視は故障予防の第一歩です!

「エアーブリーザーの詰まりは油漏れの始まり!」

エアーブリーザーは油圧タンクにとって“呼吸口”のような重要な役割を持っています。
しかし、この空気抜きが詰まると内部圧力が逃げ場を失い、ついにはシールが吹き飛び油漏れを発生させることがあります。

とくに、ホコリが多い作業環境ではブリーザーへの汚れ付着が進みやすく、気づかないうちに完全に塞がってしまうこともあります。
油の劣化や水分混入よりも先に、まずチェックすべきポイントです。

トラブルを防ぐためには、タンク上にあるブリーザーを定期的に清掃すること!
週1回のホコリ払いでも、シール破損や油漏れを大幅に防止できます。

あなたの機械、ブリーザーは詰まっていませんか?
今日の点検でぜひ確認してみましょう!

「異常な戻り速度」

戻りが早すぎるのは重大な不良のサインです!
油圧シリンダーの戻り速度が普段より極端に速くなるとき、内部で何かが起きています。

主な原因は次の2つです。

  • 内部漏れ:油が本来とは違う経路を流れ、制御バランスが崩れる
  • 油路の詰まり:油が正常なルートを通れず、圧力が偏る

どちらも、放置すると動作不良だけでなく 重大故障につながる危険な状態

「最近ちょっと戻りが早い気がする…」
そんな小さな異変こそ、トラブルの初期症状です。
違和感を覚えたら、まずは 油路・内部漏れの点検 を!

「ストローク限界運転」

ストローク端まで押し切るのは危険!その理由とは?

油圧シリンダーをストローク限界まで動かし続ける “ストローク限界運転” は、見た目には正常に動いているようでも、内部では確実にダメージが蓄積していく危険な運転方法です。


■ ストローク端まで押し切ると何が起きる?

ピストンがヘッドに強く当たることで、

  • 金属疲労が進む
  • ピストンやヘッドの割れの原因になる
  • 衝突によるシール破損が起きやすくなる

特に高圧仕様のシリンダーでは、端部衝突のダメージは非常に大きく、突然の油漏れや動作不能につながることもあります。

「シリンダーチューブの摩耗 内筒が光って見えるのは“摩耗の証拠”!」

油圧シリンダーの内部トラブルで見逃されやすいのが シリンダーチューブ(内筒)の摩耗 です。
一見キレイに“光って見える”状態は、実は 摩耗が進んで内壁が削れているサイン なんです。


■ なぜ内筒が光ると危険なの?

シリンダー内部を動くピストンリングは、常に筒の内壁と接触しています。
その摩擦によって徐々に内壁が削られ、表面が鏡面のように光ってくると…

  • 圧力が逃げる
  • オイル漏れや動作不良が起きる
  • シール・リング類の摩耗が一気に加速

というトラブルの原因になります。

「ピストンピンの摩耗は“寿命寸前”の警告サイン!」

ピストンピンにわずかなガタつきが出たら、それは 故障のカウントダウン
緩んだピンは動作のたびに衝撃荷重を受け、ピストン穴をどんどん広げてしまいます。
最終的には“修理不能”に至ることも…。
点検時には必ずピンの遊びを手で確認し、早めの交換で重大トラブルを防ぎましょう!

「シリンダー取付角度」わずかなズレが寿命を半分にする!

シリンダーの取付角度が少しズレるだけで、内部では想像以上の負荷が発生します。ほんの数度の傾きでもピストンに偏った力が加わり、ロッドやシールの摩耗を一気に早めてしまいます。結果、油漏れや作動不良といった重大トラブルに直結。設置作業では「芯出し(アライメント)」の確認を怠らず、正確な角度調整を徹底することが長寿命化のカギです!

「シール表面の傷」小さな傷が大きな漏れに!

シール表面についたわずかな傷も、油圧機器では命取りです。圧力がかかると、その小さな傷が油の通り道となり、わずか数時間で大量の油漏れを起こすこともあります。原因の多くは、組み付け時に工具やシャープエッジがシールに触れること。取り扱いの際は角部の面取りや保護スリーブを使い、シールを絶対に傷つけないようにしましょう。ほんの一瞬の不注意が、大きな損失につながります。

「圧力設計ミス」上げすぎは破損への近道!

「圧力を上げれば動くだろう」――そんな思い込みが重大トラブルを招きます。設定圧力を超えると、シリンダー内部のシールが吹き抜けたり、金属部品が破損したりする危険があります。動作不良が起きた際は、まず原因を特定することが最優先。圧力を上げる前に、バルブや流路、油量などの状態を確認しましょう。正しい圧力管理こそが、長く安全に使うための基本です!

「ロッドカバーの重要性」砂埃から守る、見えない防御力!

ロッドカバーを付けていないシリンダーは、常に砂埃や異物にさらされています。微細なゴミがロッドに付着すると、作動時にシールを削り、油漏れや摩耗を引き起こします。特に屋外で使用する機械では、風や雨に含まれる異物の影響が大きく、ダメージは想像以上。ロッドカバーは「消耗防止の盾」です。たとえ短時間の使用でも、必ず装着して機器を長持ちさせましょう!

「オイルフィルターの目詰まり」動きが鈍いのは詰まりのサイン!

オイルフィルターの目詰まりは、油圧システムの動作不良を引き起こす代表的な原因です。フィルターが汚れで詰まると油の流量が低下し、シリンダーの反応が鈍くなります。そのまま放置すると圧力不足やポンプの焼き付きなど、重大な故障に発展することも。フィルターは消耗部品です。定期交換を習慣にし、清潔な油路を保つことで油圧機器の性能と寿命を守りましょう!

「ピストンリングの摩耗」圧力が逃げる前に点検を!

ピストンリングの摩耗は、油圧性能低下の大きな原因です。リングが摩耗して隙間が広がると、圧力が内部で逃げてしまい、シリンダーの動作が不安定になります。さらに、油漏れや発熱、効率低下などのトラブルも発生。見た目では判断が難しいため、定期的な分解点検で摩耗状態を確認することが大切です。異常を感じたら、早めの交換で大きな故障を防ぎましょう!

「オイルタンクの水分」白く濁った油は危険のサイン!

オイルタンク内の結露は、油圧トラブルの隠れた原因です。水分が混ざるとオイルが白く濁り、潤滑性能が急激に低下。内部の金属部品を腐食させ、シリンダーの動作不良を引き起こします。特に季節の変わり目や湿気の多い日は要注意! オイル点検では「色」と「透明度」を必ずチェックし、異常を感じたらすぐ交換や水分除去を行いましょう。日々の確認が、油圧機器を長持ちさせる秘訣です。